海外旅行会社から、「東京・京都・大阪以外の日本を提案したい」という声を聞く機会は増えています。
混雑を避けたい。まだ扱っていない地域を紹介したい。自然や文化をより深く体験できる旅をつくりたい。地域の人や暮らしに触れられる時間を旅程に入れたい。
もちろん、旅行会社や市場によって求めるものは異なります。それでも、海外旅行会社との商談や視察、Towakaで実際に旅程を組む中で、共通して感じることがあります。
それは、「まだ知られていないか」よりも、「なぜこの旅行者に、この地域を提案するのか」が明確であることです。
地域に魅力があることと、海外旅行会社が自社の顧客に提案できることは、必ずしも同じではありません。
「知られていない」だけでは、旅程に入りにくい
日本を長く扱っている海外旅行会社にとって、地方への旅行そのものは、すでに珍しいものではありません。
そのため、「外国人観光客がまだ少ない」「ゴールデンルートではない」「海外ではあまり知られていない」ということだけでは、提案理由としては弱くなっています。
実際の案件では、旅行者によって関心はかなり違います。食文化を深く知りたい人、自然の中を歩きたい人、工芸や建築に強い関心がある人、地域の人との交流を楽しみたい人。
Towakaでも、すべての旅行者に同じ地域を薦めるわけではありません。「今回の旅行者だから、この地域を入れる意味がある」と言えるかどうかを見ています。
私たちは、体験単体ではなく「一日の流れ」を見る
地域から施設や体験をご紹介いただいたとき、Towakaでは、その内容だけを見て旅程に入れるかどうかを判断することはあまりありません。
例えば、魅力的な工房体験があったとしても、どこから移動するのか、どのくらい時間を取るのか、前後に何を組み合わせるのか、近くに適切な宿泊先があるのかまで含めて考えます。
単体では魅力的でも、移動に長い時間がかかり、現地で十分な時間を取れないのであれば、旅程から外すこともあります。
反対に、アクセスが少し難しい場所でも、良い宿があり、周辺の体験と組み合わせることで、その地域に泊まる理由をつくれることがあります。
Towakaで見ているのは、「良いコンテンツか」だけではなく、「この一日、この旅が本当に良くなるか」です。
人とガイドが、地域を提案する理由になる
海外バイヤーとの商談や視察では、名所や施設だけでなく、その地域で暮らす人や仕事への関心を強く感じます。
工芸であれば、完成品を見るだけでなく、職人から背景を聞く。食であれば、料理を食べるだけでなく、生産者やつくり手と会う。田畑や漁の現場を訪ね、その土地の営みに触れる。こうした時間が入ることで、同じ地域でも旅の印象は大きく変わります。そして、その出会いそのものが、「なぜこの地域を訪れるのか」という提案の理由になります。
その地域でしか会えない人、長く続いている仕事、暮らしの背景。それらは、名所の数では測れない、その土地を旅程に入れる確かな理由になります。
そして、それを旅の中で伝えるうえで重要になるのがガイドです。実際の手配では、「この地域には何があるか」と同じくらい、誰に案内をお願いするかを重視します。
地域の歴史や文化、暮らしの背景を理解し、旅行者の関心に合わせて伝えられる人が入ることで、同じ場所でも体験の深さは大きく変わります。Towakaでは、語学力だけでなく、その旅行者に対して、その地域を誰が最も適切に伝えられるかを考えてガイドを選びます。
「良い場所」と「実際に提案できる場所」は違う
海外旅行会社との仕事では、「良い場所ですね」で終わる地域と、実際に顧客へ提案できる地域には違いがあります。
Towakaで旅程に入れる際に確認するのは、主に3つです。
海外旅行会社にとっても、自社の顧客に説明できる、手配できる、安心して催行できることは重要です。魅力があることに加えて、こうした条件が揃うことで、「紹介したい場所」から「実際に提案できる場所」へ変わっていきます。
- 旅行者との相性
- 今回の旅行者の関心に合っているか。その地域を入れる明確な理由があるか。
- 旅程との相性
- 前後の宿泊地や移動と無理なくつながるか。十分な滞在時間を確保できるか。
- オペレーション
- 料金、受入人数、時期、予約条件などを確認できるか。継続して安心して手配できるか。
最初から海外向け商品が完成している必要はない
一方で、Towakaでは、海外旅行者向けの商品として完成していないこと自体は、それほど問題だとは考えていません。
地域側だけで先に「外国人向け」に整えすぎることで、本来の価値が薄れてしまうこともあります。
私たちが最初に知りたいのは、その地域や事業で何を大切にしているのか、旅行者に何を知ってほしいのか、どのような旅行者と相性が良さそうか、どこまでなら無理なく受け入れられるのか、といったことです。
その核が分かれば、Towaka側でも、どの旅行者に合うのか、どの旅程に入れられるのか、誰が案内するのがよいのか、どこを調整すれば実際に手配できるのかを具体的に検討できます。
Towakaの仕事は、完成した商品を仕入れることだけではありません。地域にある価値を、海外旅行会社が実際に提案・手配できる旅へと組み立てることも、DMCの重要な役割だと考えています。
Towakaで最後に見ること
最終的には、とてもシンプルです。「この旅行者に、この地域を入れることで、旅が本当に良くなるか」。Towakaで最後に見るのは、結局そこです。
そこで会える人かもしれません。食文化かもしれません。歩くことで初めて分かる風景かもしれません。その地域を深く伝えられるガイドかもしれません。
その理由があり、宿泊、移動、ガイド、体験を含めて無理なく成立するなら、その地域は実際の旅程に入ってきます。
地域の価値を、適切な旅行者に届く旅として組み立てる。それが、TowakaがDMCとして担いたい役割です。

